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2003年1月 ルオー族の生活
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ヘラ婦人会の会長がルオー族について書きました。

本に書いてあることではなく、直接手書きの文章です。今では廃 れた風習がずいぶん混じっていますが興味深い風習が書かれて います。
(原文は英語で別途記載しています。和訳は石黒さんにお願いし ました。)

ルオー族について

ルオー族はスーダン南部を起点とするナイローツ系に属します。 彼らはウガンダを通り、ウガンダ東部からケニアに入り現在に至 ります。

ケニアのニャンザ郡に位置するボンド、キスム、ニャンド、ラチュオ 、ホマベイ、そしてミゴリに落ち着きました。

彼らの内、いくつかのグループはシラチの様なタンザニアの奥深く 迄進みました。

ルオー族は、やさしく親切で友好的、何事にも全力を尽くします。 ルオー族は、家でも職場でも最も適した管理者と言えるでしょう。 無頼生活や盗みを嫌います。神を怖れ、神と共に存在する事を望 みます。

ルオー族の習慣は、ケニアの他の部族に比べるとかなりユニーク です。ここにルオー族の昔ながらの習慣を紹介しましょう。

大人への入り口

ルオー族の若者(男子・女子共)は、大人に成るには10代の内に 下の前歯を6本抜きます。この儀式はナク(歯抜きの意)と呼ばれ ます。この時期から男子・女子共に大人と認められ、結婚が許さ れます。

この儀式は弱虫にとっては飛んでもない儀式で、とてもこわがり 人々がどこにいるのか言えません。歯を抜いた後は焼いたとうも ろこしなどが与えられます。これは抜歯の後が早く治るからです。
女子は次にケト(肌への装飾‐簡易刺青)が成されます。男子に は ペン・ニャディエル(男子正式の民族衣装で高価なもの)が両親よ り買い与えられます。又、オクンバ(盾)とトング(槍)も与えられ、 年長者から村が襲われた時の守り方、ツオディ(戦士)になって 戦う為のトレーニングを受けます。

結婚

ルオー族は組織された人々なので、結婚についても慎重にそして 熱心に行います。

結婚相手を捜す

まず初めに、男子であれ、女子であれ結婚適齢期になると親類縁 者が結婚相手を探します。

親戚はジャガムと呼ばれる仲人を使ってカップルもしくは2家族を 引き合わせます。仲人は男子、又は女子を家に招待し、相手のこ とを色々話し、いかにお互いがふさわしいかを説明します。双方 の同意を得たら、それぞれの家へ行き、両親にその旨を話します 。

男子の両親の同意を得たら、女子の家へ行き相手の両親と話し 、結婚の意思を伝えます。女子が結婚したい旨を伝えると、その 為の手はずを整えます。男子は家に帰り、花嫁に払う牛のアレン ジをします。

花嫁の価値

一般的には12頭の牛(1頭当り約9000〜15000円)を花嫁側に支 払います。これが払える状態になったら、男子は自分の兄弟と仲 人を伴って女子の家へ行き、自分が何時来るのかを告げます。女 子の家では羊を絞めたり、コンゴ(自家製どぶろく)で振舞います。
花嫁に持参金を払う花婿は、必ずコンゴを飲まなければなりませ ん。ルオー族はコンゴによって花婿がお酒の勢いで後ろめたく思 っている家族の秘密を漏らしてしまうと信じているからです。本当 にそれは良く効きます。

決められた頭数の牛が払われたら、花嫁は花婿のものになった ことを宣言しますが、花嫁からすすんでが花婿の家へ来る事は拒 みます。ですから、新郎は仲人や親戚を通して、彼女を親類縁者 から連れ去る隙を伺います。彼女の家族が、他の姉妹が連れ去 られるのを認めたがらないので、これはとても慎重に行われます 。花婿側はこのやり方を我慢しなければなりません。花婿は花嫁 の動きを追い、兄弟と一緒に如何に花嫁を連れ去るか案を練りま す。ひとたび花婿側にチャンスが到来するとマコ・ニャコ(連れ去 りの過程)になります。

マコ・ニャコ ‐花嫁を連れ去る

両親が娘の結婚を承諾したものの、新郎の家に行く事を認めない ので、新郎は兄弟と一緒に花嫁を新郎の家へ連れ去ります。これ は結婚の最終段階で花嫁が自ら新郎の家へ赴く事は絶対にあり ません。彼女は連れ去られるのであって、自分から行くのではあ りません。

新郎と彼の兄弟が花嫁を連れ去りに来たら、彼女は"ゴヨ・ンドゥ ル"(一種の騒ぎ)で彼女の家族と兄弟に警報を発します。そして 兄弟達は彼女を助けに来ます。これはとても大切な事で、もし花 婿が花嫁の兄弟より弱ければ結婚できません。激しい戦いの後、 勝った方が花嫁を連れて行きます。人々はありとあらゆる武器( こん棒、レスリング等)で戦い、花嫁に何があっても彼女を守れる ことを証明します。この時は花嫁さえも戦士となり花嫁の方が強 い場合には、弱者とは結婚できないことを宣言し、全てがご破算 になります。この様なやり方によって、花嫁は未来の家族が強い のか、はたまた弱いのかをテストします。

もし花婿が花嫁の連れ去りに成功した場合は、その夜新婚初夜 を迎えます。これは"ケト・ハコ・エ・ピエン"として知られています (花嫁は花婿と、もし花婿が弱者の場合は義理の兄弟と初夜を迎 えます)。

ンダリア‐結婚式への訪問

花嫁の姉妹と家族は、結婚式の日に花婿の家へ訪問する段取り をつけます。多くの少女が花嫁を訪問します.彼等は5‐10人ずつ で用意したご馳走を持ってきます。このご馳走は到着後、花婿が 一番に口を付けるべきものであり、花婿が食べる前は誰も食べる ことが出来ません。

少女達は、新居に向う時に大声で歌を唄い、大切な旅行に邪魔 が入らないようにします。こうすれば、彼女達の通る所はどこでも 人々は何の為の旅行かを知り、邪魔をしません。

花婿の家では彼女達を迎える為の準備がなされます。花婿側の 兄弟は皆招待され、村中が陽気に愉快になります。彼女達の到 着と同時に羊が絞められ、ご馳走が用意されます。訪問した少女 達は数日滞在します。

彼女達の訪問中は"ぺドォホ・ニィリ"(義理の家族と少女達のお 喋りのお祭り)と呼ばれます。ここでお互いに新しい友人と義理の 家族について深く知ります。この後、ぺドォホ・ニィリ(義理の家族 と夜を過ごす)があり、少女達はルオー文化では婚外のセックス は罪になるという弱点を盾に彼等との肉体関係を拒み、花婿側に 挑みます。セックスを受け入れたら友人がその少女の家に戻って 報告し青年が彼女のことを知る由になります。この後、男性は"ピ エン・ニャコ"(少女を不潔にした事(処女性を奪ったこと)‐これは 花嫁の両親及び彼等に取ってもとても恥ずかしいことです)を払 います。

ペドォホ・ニィリの間、花婿は花嫁とセックスをしますが、その間中 、花嫁の姉妹が有様を聞いています。何故ならルオー族の習慣で は、このやり方は花婿が正常かどうかの目撃となり、将来花婿が 勃起不可能になることを避ける為です。将来、花嫁が花婿は勃起 不可能だと主張した際には、少女達は花婿側の証人となり得ま す。花嫁の姉妹は、白い清潔なハンカチで花嫁の陰部を拭き、ハ ンカチに血を染みつけます。このハンカチの染みによって花嫁の" ジ・リングレ"(処女性)を立証します。ハンカチに血が付き、それを 花嫁の家に持って帰ったならば、花嫁の両親は正直な娘を持っ たこと、そして彼等の育て方が正しかった事を喜び、自慢し、その 花嫁は結婚まで処女を守った事で村の英雄になります。

結婚の解消

ルオー族に取って結婚の解消は簡単ではありません。離婚の為 にはいくつかの理由があります。

ジュオク(魔力)

これには、いくつかの名前があります。

  1. ジュオグ・ピチピチ
ジュオグ・ピチピチは夜暗い中を走り回ったり、家の柵に登って砂 を投げたり、豹、ハイエナ、カバ、オオトカゲ等を使って道や家で人 々を怖がらせます。こう言った人はルオー族の中では悪人とされ 、恐れられ、結婚する場合は、花嫁もその様な魔力の掛かった家 の出身でなければなりません。

  1. ジュオグ・ワング(悪い目)
悪い目とは、嫉妬深い人の事です。この人が物や人を見ると、見 られた物に不運が付き、人の場合は死に至ることもあり、とても 怖れられています。これもまた、離婚及び結婚の解消の要因とな ります。これは主に女性に遺伝し、男性に遺伝することは極稀で す。

  1. チョデ‐売春婦や不貞を働く人
もし女性が売春婦(婚外セックスをする人)だったら、これはルオ ー社会においてとんでもないことなので、結婚の解消になります。

  1. ワング・テコ又はチンベ・マリチョ‐ふさわしくない行い
これは新婦と家族と親戚一同の品行、躾等が考慮されます。

子供の誕生

結婚後生まれた子供

子供の後見人は父親と社会です。結婚後に生まれた子供は、社 会全体の財産となり婦人が口を挟む事は出来ません。

婚外子

婚外子はルオー族では本当の子供のように扱われます。その女 性が結婚する時は子供も連れて行きます。結婚するのに子供を 置いて行くのはもってのほかです。彼女は子供を連れて来、父親 の姓を名乗ります。子供の相続権も取得でき、もし子供が男の子 だったら他の子と同じように相続できます。

ニョル・ウオイ‐男子誕生

男の子が生まれると三日間家の中に置かれ、他の人は見る事は 出来ません。この三日間と言うのは、赤ん坊が違った環境になれ るために必要な期間です。この期間の後、赤ん坊は外に連れ出さ れ誰でも抱く事が出来ます。

男の子を産んだ母親は、女の子を産んだ人よりもでかしたという ことになります。

女児誕生

女の子が生まれた場合は、四日間家の中に置かれます。女の子 は弱く、成長するのに時間がかかると思われています。この期間 の後、赤ん坊は抱く事が許される事もあります。

名付け

子供の名付けは時間、当時の出来事、名士等から選ばれます。 昼間生まれた子供なら女の子ならアチエン、男ならオチエンです 。雨期に生まれた子は女の子ならアコト、男の子ならオコトです。

家を建てる

ゲロ・シンバ‐息子の家を建てる

息子が充分成長したら、父親と一緒に森へ行き彼の家を建てる ための木を切ります。木を切り運び出したら、どこに家を建てるか を見せます。普通父親は長男にこれをします。

長男は同じ門の中の右手に家を建てます。息子によって立てられ た家はシンバ(女性の居ない家)と呼ばれます。シンバは次男以下 続く兄弟と共同で使えますが、成人している事が条件です。

シウィンデェ‐女の子の家

シウィンデェはおばあさんの家で、女の子はそこで寝ます。この家 のおばあさんは赤ん坊を産みあげ、もう旦那ともセックスをしない 人で閉経していなければなりません。こういったおばあさんが、今 度は女の子を将来彼女達の先頭に立てるよう、良き妻になるよう 、どのように貞操を守るか等を躾ます。おばあさんは家族のしきた りや素姓も教えます。

ゴヨ・ダラ‐家屋敷を作る

これは父親の所有地から出て自分の家(所有地)を持つ事です。 ルオー族は結婚していなければ自分の所有地を持てません。既 婚者だけが家を持てます。

家を立てる前、斧、昔ながらの道具類、鶏等を準備します。
息子が新しい場所へ移る重要な日には、下記の事をします。

1) 家で使っている斧は長男が持ちます。
2) 息子は鶏と斧を抱えます。
3) 父親は新しい家を建てる現場まで一緒に行きます。
4) 夫人も一緒に行かなければならず、夫人が居ない時は移れませ ん。
5) 必要なものを全部揃えます。
6) 人々を招待し、手助け(サガ、またはハランベー)を乞います。

結婚の解消

結婚を解消するにはいくつかの条件を満たさなければなりません 。ルオー族は結婚を解消した場合、通常父親が子供を引き取りま すが、父親に落ち度がある場合は、下記の様になります。

  • もしも二人の間に男子がいる場合:母親の両親に支払った 持参金より男の子一人に付き牛4頭を差し引きます。

  • もしも二人の間に女子がいる場合:女の子は一人当たり牛3 頭に値します。

これがルオー社会での離婚のルールです。
残りの牛が父親に帰された段階で、女性(母親)は自由になったこ とを宣言し、他の人と結婚することも出来ます。


 
(次ページへ続く)



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